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RX1はモーツアルト!

●ミラーレス機の最高峰、SONY RX1最初の印象

RE1は、モーツアルトのようなカメラだと思いました。
モーツアルトの音楽は、格調高く、気品に満ちています。やさしさも秘めています。だから多くの人々に愛されているのです。
私もモーツアルトが好きで、よく耳にしました。

1,DSC07146
2月始めに開かれたCP+(シーピープラス、カメラショウ)では、SONYブースで2回、RX1の魅力を語りました。そのとき話したこと、話しきれなかったことなどを、このブログにしたためました。吉木さん撮影

RX1を持って歩くとき、軽快なピアノソナタ15番の第1楽章を思いました。
とてもポピュラーな曲なので、聴けば、あぁこれね、と皆さん知っていると思います。

私の小学校のころ、学芸会が近づくと音楽室から、よくこの曲が流れてきました。
女の子たちが練習していたんですね。

そうそう、お昼休みのことでした。美しい音楽、軽やかな指先のタッチにつられ、どんなかわいい子が弾いているのだろうと、悪がき男子が6~7人、連れ立って音楽室を目指しました。
ところが扉は閉まったまま、中は覗けません。ならば上の窓からと騎馬戦を組み、一人が乗りました。しかしもう少しのところで見えません。
今度は肩車です。とりあえず軽そうな子が上、背の高い私は下でした。
3組の肩車少年が、そろそろと立ち上がります。

ところがそのとき、運悪く音楽の先生が廊下の方からやってきました。
「こらー、お前たち何してる!」
一目散に逃げました。
みんなが遊んでる校庭にたどり着いて息つきながら、上になった子に印象を聞きました。ところが、
「・・・・・」
「よくわかんなかった」
「見ないほうがよかった」
音楽は耳で聴いているときが、よいようです。

ちなみに当時の女子の髪型は”わかめちゃん”カットでした。男は全員丸刈り。


さて、沿線を歩いていて、ふと立ち止まったときなど、
バイオリンソナタ34番の第2楽章を思いました。
これも皆さんよく聴く音楽でしょう。
ネットで引くと、誰かの演奏に行き当たるかもしれません。先ほどのピアノソナタ15番も。

まずピアノが唄って、すぐにバイオリンが静かに奏でられますが、消えると、ピアノが甘くささやくように続きます。その後は、ピアノとバイオリンが交互に、2つのウエーブが絡み合うように演奏されて、まるで恋人同士が優しく語り合っているように連なっていくのです。

今、沿線を歩きながらこの曲を思い出すと、自然が、RX1を持った私に語りかけ、私がそれに答えているような気持ちになるのです。
自然はその美しさにおいて、どんな芸術よりも勝っています。その自然がカメラを持つ撮影者に対し、アートについて語りかけるのです。


およそ写真は、次の3つの要素が関係していると思います

①撮影者自身
②自然を含む環境
③カメラ

今回のブログは「RX1」が主役なので、①、②はとりあえず置いて、まず③について若干記しましょう。
どんな場合でも、カメラ、またはカメラ機能の備わった道具が手元にないと、写真撮影は不可能であることは承知の事実です。
撮影者がどのようなカメラを選択するかは、その仕上がりに大きな影響を持っているので、大切な事柄です。

車両の形式写真を得意とした、西尾克三郎さんは、カビネ組み立て暗箱を用いました。リベットの1本1本、台車の細部や床下機器まで克明に描写するには最適なカメラでした。映像を記録するフィルムは、ガラスの乾板でした。主な使用レンズは、ダゴールです。
蒸気機関車研究家の、臼井茂信さんは、6×6サイズの2眼レフを愛用しました。レンズシャッターに大きなこだわりを持っていたからです。停車中の機関車をすばやく撮ったり、走行中の機関車をアップで撮るには最適と信じて、マミヤC3と交換レンズを撮影バッグに収めていました。

一方、一般の写真界ではどうでしょうか。
ヨセミテの”ウイルダネス=聖地”をこよなく愛し、撮影した、アンセル・アダムスは、大型のデュアドルフ8×10を用いて、荒々しい岩肌や雄大な滝などを、生涯を通して記録しました。
ネイチャーフォトの第一人者の彼が残した言葉があります。
”ネガは楽譜であり、プリントはその演奏である”

パリの街角を軽妙闊達に撮影した人に、アンリ・カルティエ・ブレッソンがいました。彼は小型のライカを用い、数多くの傑作を世に送り出しました。水溜りをぴょんと飛ぶ紳士をキャッチした、サンラザール駅裏のスナップ写真が特に有名で、”決定的瞬間”という言葉を残しました。

この二人が、それぞれカメラを交換し、アダムスがライカでヨセミテを撮り、ブレッソンが8×10でパリをスナップしたらどうだったでしょう。はたして名作は生まれていたでしょうか。
撮影者が、その意図に沿ったカメラを選ぶことが、作品制作に重要なファクターであることが理解できると思います。

昨年の秋、私はSONYから1台のカメラを手渡されました。
RX1です。
工場から仕上がってきたばかりの、3台のうちの1台で、写真家はもとより、外部の人にカメラを手渡すのは初めてだそうでした。
小型軽量で愛らしく、ちょっぴりクラシックな姿から、モーツアルトの室内楽を連想しました。
弦楽四重奏も浮かびましたし、先ほどのピアノ曲とかバイオリンソナタが脳裏を掠めました。

RX1で撮影した作品は、まずSONYのウエブに掲出されました。
撮影はモーツアルトの生誕地、ザルツブルグに行きたかったのですが、時間的制約から伊予鉄道としました。
ここは市内を走る電車を”市内電車”、住宅地に向かう電車を”郊外電車”と呼んでいます。都電が走っていた昭和初期の言葉が残っているのです。
ちょっぴりクラシックな雰囲気のRX1には、最適な被写体だと思いました。
夕方羽田を発ち、海を越えて(ここが大事)2泊3日の撮影行でした。

広田尚敬 SONY RX1情報 と入れると、伊予鉄道の旅写真が出てきます。

そして、この2月に開催された、CP+(シーピープラス)のトークでは、伊予鉄道の写真も含め、40点近くを披露しました。
実はそのときまで、RX1で撮影した自分の写真は、パソコン上でしか見ていませんでした。
それが、CP+の会場では、4Kという大きなテレビ画面に映し出されたのです。
トークの舞台中央に設置された4Kの描写力には仰天しました。

たとえば走行中の東急の検測車を例にすると、車両のディテールから、遠方(右隅)に写っているケヤキの枝の冬姿までが克明に写っているのです。
思わず皆さんに背を向け、間近に、4Kのテレビ画面に魅入ってしまいました。
あのデュアドルフの8×10以上の解像力がありました。

2,,DSC04034

ノートリミングの全体像。露出は絞り優先オート(f5,6 1/2000秒)写真はすべて4Kテレビ画面でお見せしたいところです。私自身のテスト撮影のため、コントラストー2、彩度ー2、シャープネスー2と、最低の設定にしてあります。


3,DSC04034

パンタ付近の部分を100倍にしました。


4,DSC04034

画面右上を100倍に拡大トリミングしました。我が家のパソコンでは鮮鋭度が半分も出ていません。ごらんの皆さんのところでは、いかがでしょうか。


一体設計、一体調整はここまですごいのかと、
35mmフルサイズ+ツアイスレンズ(ゾナーF2)+技術者たちの成果、とともに驚きました。
聞けばレンズの力がフルに発揮できるように、固定焦点とし、センサーとの調整には、異なる26枚のごく薄い金属板を一台一台あてがって、最高の位置を手作業で求めていくのだそうです。
カメラの材料はすべて国産。組立作業は一ヶ所の工場で行われているそうです。

もはや、アンセル・アダムスも、アンリ・カルティエ・ブレッソンも、仲良くこのカメラ一台で作品制作が出来るのではないか、ご尊命であってほしかったと思いました。

RX1を手にしてから、私は毎日このカメラを身につけています。外出するときも家にいるときも。
さすがに風呂に入るときは外しますが、食事のときも肩から提げています。
写真を始めて62年になりますが、このようなことは初めての経験です。
それほどこのカメラを、心底、気に入っているようです。


つづく・・・



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