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006,「京王井の頭公園駅 秋から冬へ」

●006 データ
「京王 井の頭公園駅 秋から冬へ」

身近な鉄道の身近な電車を、秋と冬に撮影。
主演: 10ショットの1000系

動画  5分00秒
撮影: 2012年 1月13日
    2013年11月29日
制作: 2013年11月29日



●006 動画エッセイ
「京王 井の頭公園駅 秋から冬へ」

寒さの厳しくなる冬になると、SL撮影には絶好ですが、どちらかと言うと都会の電車には、さわやかな季節のほうが適しているようです。冬は日が短かくなるし、ビル影は長くなるしでいいことはありません。それにホームの人はいかにも寒そうで色彩も地味で黒が多いのも、明るい色の好きな私には気になります。でも首都圏の1月はまだ秋の終わりの雰囲気で、狙いようでは暖かさを出せる、ぎりぎりの季節です。

そういえば箱根の紅葉、大平台付近のフィルム時代は12月に入ってからが見ごろでした。最近は地球が変わってきたのか、012「箱根登山鉄道 錦」は11月24日に様子見して、27日に撮影しています。撮影は2010年のことなので、今年の秋はもう少し早いかもしれません。

井の頭線の冬バージョンは1月13日です。穏やかな日和で、陽だまりに佇んでいると天道虫が肩に止まって、おいおい君たち冬なのに大丈夫かと、声をかけたくなるほどでした。
カメラはCanonIvisG10です。毎年2月に開かれるカメラショー、CP+でのトークに使うショットと、それに絡んで「鉄道ファン」に連載する作例を撮るためのショートトリップでした。
G10は固定の10倍ズームレンズを装着、電動ズームが使えるのが特徴です。スピード調整が多彩だし、動きがスムーズなので、この006でも最後のショットにズームを用いています。でも、キヤノンから預かったばかりだったので、恐る恐るの感じでした。

この作品は冬だけでまとまっていたのですが、トップの映像に大工さんの作業音が大きく入っていました。
「これって気になりません? 視聴者の方が奇異に感じそうです。代わりのショットはありませんか」
アシスタントを買って出てくれている山本君の意見です。
撮った本人は、魅力ある現場音と捉えていたのですが、言われて客観的に聴いてみると、ヘッドホンから流れてくる音はたしかに目立っています。すぐ近くの踏切音より大きいのです。

「よし、では撮りなおしましょう」
風のない穏やかな日に出かけました。冬バージョンの撮影から2年近くたっているので、家の改築もとっくに終わっているだろうと、くだんの踏み切りに差し掛かりました。ところがところが、音がするではありませんか、建築の。
しかも前より重い連続音です。カメラをセットしたものの撮るどころではありません。地響きでカメラも小刻みに揺れるのです。
様子見に行きました。最初は踏み切りに隣接している家とばかり思っていたのに、数棟離れたところでした。まだ売れてない建売があって、その隣でボーリングらしきことをしているのです。大掛かりなので温泉でも掘っているのかと近所の方に尋ねると、家を建てるための地質調査ではないかということでした。しかしこうした連続音が2年近くでは、近所の方々の生活が思いやられます。

一旦駅前に引き上げました。見回して2階のコーヒーショップで小休止です。撮影時間は、大工さんたちの昼休みと狙いをつけたら、見事的中! がんがんとした音と一緒に唸っていた発電機もぴたりと止んでいました。今だ!
急いでカメラをくみ上げスタンバイに入りました。今回は例のヘッドホンを持参しています。編集だけではなく、撮影にも使おうというわけです。耳にあてると、やばい、踏み切りの向うにいる、おばちゃんたちの立ち話が聞こえてくるではありませんか。耳を凝らすと話の内容も分かるようで、これはまずい。でも昼なんだからすぐにも食事で戻るだろうと高をくくっていましたが、一向に終わらないのです。やきもきしていると風も出てきました。午前中はとても穏やかだったのに、12時を過ぎて急な変化です。都会の撮影はママなりません。

運よく、バイオレットカラーの各駅停車が井の頭公園駅を発車したときは、断続的な風の狭間に入り、マイクにかぶせたジャーマーの細毛も落ち着いています。さらにもう一つ、運がいいことにプロペラ機の長閑な音が聞こえてきました。これがいいのです。秋から冬にかけての澄み切った高い空を表現する絶好の隠し味ならぬ、隠し音です。スチール撮影ではまったく関係ない音が、動画ではプラスになったりマイナスになったりで、趣味的には楽しめるところでしょう。この辺りは調布飛行場の航路になっているようで、機影は見えませんが音は苦にならない程度に・・・、単発でなく双発かな。気持ち音量過多だけど、電車の接近音に程よくカブリ、心の中で思わずガッツポーズです。

1000系1729の編成は、2013年の春ころレインボーカラーになって走行しているシーンに出会いました。この編成、初期のころはたしか、正面のFRP部分はブルーグリーンだったように思いますが、レインボーカラーになってからは1000系初のホワイトです。車内照明のLED化を期して外観も特徴つけたのでしょう。
撮影していて不思議だったのは、サイド窓下、編成5両に渡るレインボーカラーのグラディーションをどうやって付けたかということでした。グラディーションフィルムはたぶんないので、電車に合わせ、現場で造ったものでしょう。モノトーンならフィルムを貼るだけで表現できます。でもこの編成はオーバーラップという至難の表現なのです。
自分で貼ることを考えてみました。まず不透明の白いフィルムを貼る。その上に透明のカラーフィルムを、部分的に重ね合わせるようにしながら次々と貼っていく・・・。でも難しいでしょうね、まっすぐに張るのもさることながら、部分的には3枚になるから厚みが出て・・・。あるいは最近のインクジェットプリンターなら、調整さえ整えば至極簡単に1枚のフィルムに虹色を表現できるのでしょうか。正解を知りたいものです。

駅名になっている井の頭公園は、最近まで駅の東側と思っていました。西側は何だか家が立ち並び、東側に樹木が多く見られたからです。改札を出てもそんな雰囲気ですが、西側が正解だそうです。この006では、踏切から駅を撮影したシーンが何回か出てきますが、ホームの左側が西、公園はそちら西側に広がっているそうです。

今回は冬の撮影も秋の撮影も、すべて電車主体でした。ほかの被写体にカメラを向けたのは、唯一、踏み切りのワンちゃんだけです。レールを跨ぐしぐさに愛らしさが感じられる老犬ですが、このショットが遅秋と初冬をつなぐ、大切な役割、ブリッジとなりました。

お気づきかもしれませんが、初冬のオレンジ色の1000系は全部で4編成いるものの、3ショトとも1713の編成を撮影しています。また、駅通過の後方から狙ったブルーグリーンの急行は、レインボーカラーになる前の、1729の編成でした。

季節を変えて、またここに立ってみたいと思っています。

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