「栄光の日本の蒸気機関車」が6月1日付けで出版されました。
著者は、文章の久保田博さん、イラストの片野正巳さん、
そして写真の私の3人です。
味わいのある文章は大変読みやすく、この手のものとしては親しめます。
例えば144ページには8620が記載されていますが、当時、
「ハチロクの機影見ざるはなし」(原文のまま)と言われていたそうです。
770両が製造された9600には及びませんが、どこにでもいたということがよく分かります。
旅客用だから目立ちます。
で、このハチロクの機影と言っていますが、”機影”という言葉にぐっと来ました。
機影は普通、「ゼロ戦の機影」というように当時華やかだった戦闘機などに用いた用語だったと思うのですが、それが使われているところに、8620に対する当時のファンの思いを知ることが出来たように感じます(戦争の是非は別にして)。
それから、ボートレインにも使われていたんですね、
東京駅から横浜埠頭までの。
お召し機同等、ぴかぴかに磨かれていたということも記載されています。
愛されていたんですね、この機関車は。
形や性能だけでないこうしたエピソードなどが、読みやすく整理されていて魅力を浮き彫りしています。
ところで、今回の写真はすべてモノクロですが、ニコンF導入前の時代が中心になっています。
カメラは透視ファインダー形式の35mmが主ですが、マミヤC3の6×6サイズも使用しています。
マミヤは表紙と58,59ページの計3点ですが名調子に仕上がっています。
ご覧ください。

トップの表紙を含め、マミヤではすべて、C5345を撮影したものです。場所は吹田第一機関区で昭和36年のことでした。珍しく三脚バルブです。

49ページに掲載の、D51重連の姨捨です。
当時ここではD50とD51が活躍していました。

上野の「はつかり」出発式です。38~39ページ。
平区のC6222が発車のときを待っています。
この本にはこうした、しっかりした貴重な写真が60点オーバー掲載されています。
本の体裁はしっかりどっしりですが、内容はすごく気楽に楽しめます。